1. 借換えと繰上返済の目的を分ける
借換えは、新しい住宅ローンを契約し、その資金で現在の住宅ローンを完済する手続です。一部繰上返済は手元資金で残高の一部を予定より早く返し、全額繰上返済は残高等をまとめて返して完済します。毎月負担を下げたい、返済期間を短くしたい、金利変動を抑えたい、団信を見直したいなど、目的によって比較する項目は異なります。
この記事は、借換えや繰上返済を勧めたり、利息軽減や審査通過を保証したりするものではありません。低い金利へ借り換えても費用や期間の延長で総支出が増える場合があり、繰上返済で手元資金が減ることもあります。「借換え」「繰上返済」「何も変更しない」の三案を、同じ基準日と将来時点で比較します。
2. 現在の契約と完済金額を資料で確定する
現在の金銭消費貸借契約書、商品説明書、返済予定表、残高証明書を用意し、基準日時点の残高、残存期間、適用金利、金利タイプ、優遇条件、毎月・ボーナス返済額を記録します。ウェブ画面の概算残高だけでなく、借換予定日に全額返済するときの元金、経過利息、手数料、保証料の返戻見込みを現在の金融機関へ照会します。
あわせて、抵当権抹消書類の受取方法、完済申込みの期限、指定できる完済日、司法書士との連携、火災保険・地震保険、現在の団信の終了時点を確認します。完済まで一定日数を要することがあるため、新しい融資の実行日を先に確定しません。固定金利期間中の完済や勤務先提携ローンなど、別条件がある場合も書面で回答を受けます。
- 残高、残存期間、適用金利、返済方法、次の金利見直し日
- 借換予定日の完済元金、経過利息、繰上返済手数料、保証料返戻
- 完済申込期限、完済日、抵当権抹消書類、司法書士の指定
- 現在の団信・火災保険等が終了または継続する条件
3. 借換えは金利差ではなく実行後の総支出で比較する
新しい住宅ローンについて、借入額、期間、金利タイプ、融資実行時の適用金利、毎月返済額、時点別残高を確認します。借換えにも新たな審査があり、収入、他の債務、健康状態、年齢、物件の担保評価・技術基準等で利用条件が変わります。事前審査や試算の結果は、融資実行や申込時の表示金利を保証するものではありません。
費用には、新ローンの融資手数料・保証料、書面で課税文書を作成する場合の印紙税、抵当権設定・抹消の登録免許税、司法書士報酬、物件検査費用、旧ローンの全額繰上返済手数料・経過利息、必要に応じた保険料を含めます。これらを現金で払う場合と新たな借入額へ含める場合を分け、比較期間中の返済額と費用の合計から、保証料返戻等があれば差し引きます。
- 新ローン:元金、利息、融資手数料、保証料、団信に関する負担
- 登記等:登録免許税、司法書士、物件検査、書面契約の印紙税
- 旧ローン:完済元金、経過利息、全額繰上返済手数料
- その他:火災・地震保険、振込、証明書取得、保証料返戻等
4. 団信は旧契約の終了と新契約の開始を確認する
現在のローンで団体信用生命保険に加入している場合、その保障は借換えによる完済で終了するのが通常です。新しいローンで団信を希望する場合は改めて申込み、商品によって健康状態等の告知や査定を受けます。現在加入できていることを理由に、新しい団信にも同条件で加入できるとは限りません。融資承認と団信加入の関係も金融機関ごとに確認します。
死亡・所定の高度障害、がん、疾病、就業不能など、保障の対象と支払条件、免責、待機期間、金利上乗せ・保険料を比較します。新団信の加入承諾、保障開始日・開始条件を確認し、新ローンの実行と旧ローン完済の順序を金融機関・司法書士と調整します。一般の生命保険等を解約するかは、借換え完了後の世帯全体の必要保障を確認してから判断します。
5. 一部繰上返済は、期間短縮型と返済額軽減型を比べる
一部繰上返済には、毎月返済額を原則維持して返済期間を短くする期間短縮型と、返済期間を原則維持して毎月返済額を下げる返済額軽減型があります。一般に同じ時点・同じ金額なら期間短縮型の方が利息軽減額は大きくなりやすいものの、金利、返済方法、残存期間で結果は変わります。金融機関の正式な試算で、実行後の返済予定表を確認します。
最低返済額、実行日、申込期限、手数料、オンライン・窓口の違い、ボーナス返済部分の扱いは商品ごとに異なります。繰上返済資金とは別に、生活費の予備、教育費、医療費、住宅修繕等の資金を残します。全額繰上返済の場合は、元金に加えて返済日までの利息と手数料を用意し、完済後の抵当権抹消手続と必要書類も確認してください。
- 期間短縮型:完済予定日、毎月返済額、利息軽減見込み
- 返済額軽減型:新しい毎月返済額、期間、利息軽減見込み
- 共通:実行日、最低額、申込期限、手数料、取消条件
- 完済時:経過利息、抵当権抹消、保証料返戻、保険の扱い
6. 住宅ローン控除への影響を実行前に確認する
国税庁は、借換えによる新しい住宅ローンは原則として住宅取得のための借入金そのものではないものの、当初ローンの返済用であることが明らかで、新しいローンが償還期間10年以上などの要件を満たす場合は、住宅ローン控除を継続できる取扱いを示しています。ただし、借換えによって控除を受けられる年数が延長されることはありません。新しい借入額が借換え直前の残高を上回る場合は、控除対象となる年末残高の計算も変わります。
期間短縮型の繰上返済では、当初契約で定めた最初の返済月から、短縮後の最終返済月までの償還期間で判定し、10年未満となればその年以後は対象外となります。また、借換えを伴わず、その年中に対象ローンを全額繰上返済した場合は、12月31日時点の当該ローンの年末残高がゼロとなるため、ほかに対象借入金がある場合を除き、そのローンに基づくその年分の控除額は生じません。一部・全額返済とも、実行日前に税務署または税理士へ確認してください。
7. 実行日から逆算し、三案を最終比較する
借換えを選ぶ場合は、新金融機関への申込み、必要書類・物件確認、審査、契約、融資実行、旧ローン完済、旧抵当権の抹消、新抵当権の設定という流れを関係者と確認します。旧金融機関、新金融機関、司法書士で日程と送金額を共有し、融資実行時の金利・費用が最終試算と一致するかを確認します。火災保険や団信の空白・重複、完済書類の不足も実行前に点検します。
最終表には、変更しない場合、借り換える場合、一部繰上返済する場合について、初期支出、毎月返済額、比較期間中の総支出、完済時期、各時点の元金残高、手元資金、団信、控除の確認結果を記載します。金利が変化するケースも別に作り、借換え後の低金利や将来の節約を確約されたものとして扱いません。未確認の審査、税務、登記、保障条件が残る場合は、実行前に各窓口から書面または正式資料で回答を得てください。
- 旧金融機関から完済額、期限、抵当権抹消書類を取得した
- 新金融機関から実行条件、総費用、団信、返済予定表を取得した
- 住宅ローン控除と償還期間への影響を確認した
- 変更なし・借換え・繰上返済を同じ日付と期間で比較した