1. 事前審査と本審査(正式審査)は、目的と確認範囲が異なる
住宅ローンの事前審査は、購入候補が決まる前後に、希望額、収入、勤務、既存借入れ、物件概要などの申告情報から借入れの見込みを確認する手続として用意されることがあります。入力情報のみ、または本人確認書類だけで申し込める商品もあり、実施の有無、確認項目、必要書類、回答区分は金融機関と商品によって異なります。結果は購入予算を考える材料の一つで、家計が無理なく返せる額を示すものではありません。
本審査(正式審査)では、本人・収入・既存借入れ・物件を確認する書類を求められるのが一般的です。団体信用生命保険の手続や担保評価、物件検査などが別に必要な商品もあります。以下は両段階を含む整理例であり、提出する段階と書類は申込先の最新一覧を優先してください。事前審査を通過しても、本審査の承認や希望条件での融資実行は保証されません。
2. 事前審査の入力項目と、本審査の本人・収入書類を分ける
事前審査では、氏名・住所、勤務先、雇用形態、勤続年数、年収などを入力し、指定された場合だけ本人確認書類や源泉徴収票等を提出します。本審査では、運転免許証やマイナンバーカード等の本人確認書類、住民票、源泉徴収票、住民税課税証明書や納税通知書などを求められる場合があります。自営業者・法人役員などは、確定申告書、納税証明書、法人の決算書等が必要になることがあり、必要年数も申込先で異なります。
勤務先名、所在地、入社年月、雇用形態、前年収入と現在の給与など、申込フォームへ転記する情報は証明書とそろえます。転職、休職、育児休業、海外収入、副業、歩合・賞与の割合などがある場合は、説明資料や追加書類の要否を先に聞きます。収入合算、連帯債務、ペアローンでは、関係する申込人それぞれの書類と契約上の立場を確認し、同じファイルに混在させないよう管理します。
- 本人関係:指定された本人確認書類、住民票等
- 給与所得:源泉徴収票、公的所得証明、必要に応じ給与明細等
- 事業・役員等:確定申告書、納税証明書、決算関係資料等
- 複数の申込人:各人の書類、続柄・持分・債務関係の確認資料
3. 既存借入れ・返済・自己資金は省略せず申告する
事前審査では、住宅ローン以外の借入れについて申込フォームで指定された範囲を漏れなく入力します。自動車・教育・カードローンのほか、クレジットカードの分割・リボ、商品購入の割賦、勤務先や親族からの借入れなども確認します。本審査では、残高、毎月返済額、完済予定、契約先を返済予定表や残高証明など指定された資料と照合します。完済を条件に申し込む場合は、完済時期と証明方法も確認します。
頭金・諸費用へ充てる自己資金は、預金、贈与、保有資産の売却代金など出所によって必要な確認が変わることがあります。家族からの資金援助には税務上の確認も関係するため、税額や特例を自己判断せず税務署または税理士へ相談します。申告内容を有利に見せるための省略や借入れの名義変更は避け、不明な債務があれば申込前に金融機関へ範囲を問い合わせます。
4. 主に本審査で使う物件書類を、取得方法ごとに分ける
事前審査では物件概要の入力や販売図面・見積書だけで進められる場合があります。主に本審査では、売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書、土地・建物の登記事項証明書、建築確認関係書類などが候補になります。住宅金融支援機構のフラット35でも、住宅を建設する場合と中古住宅を購入する場合で手続・必要書類が分かれ、取扱金融機関により追加書類が異なると案内されています。
所在地、地番、家屋番号、面積、売買代金、工事費、諸費用、引渡予定日を、申込フォームと契約資料で照合します。新築・中古、土地先行、注文住宅、借地、共有持分、増改築、店舗併用など条件がある場合は、対象となる資金と物件要件を申込前に伝えます。物件検査や適合証明が必要な商品では、合格しても融資審査の承認を意味しないため、二つの手続を別々に管理します。
- 建設:工事請負、土地取得、建築・登記関係の指定資料
- 新築購入:売買代金、物件概要、建築・登記関係の指定資料
- 中古購入:売買契約、重要事項説明、土地・建物登記等の指定資料
- 商品固有:物件検査、適合証明、借地・共有・改修等の追加資料
5. 結果の有効期限と、変更時の再確認方法を記録する
事前審査の回答を受けたら、借入希望額、自己資金、物件、金利タイプ、返済期間、申込人、前提条件、有効期限を一枚に転記します。「承認」だけでなく、減額、完済、追加書類などの条件が付いていないか確認します。回答日から本審査や融資実行までの期限は商品ごとに異なり、期限内でも金利や商品条件が固定されるとは限りません。書面・画面を保存し、最新性を申込先へ確認します。
回答後に借入額、物件・価格・工事内容、勤務、収入、既存借入れ、自己資金、申込人・収入合算者など申告事項が変わった場合は、本審査を待たず金融機関へ連絡します。どの変更で再審査や書類差替えが必要かは自己判断できません。意図的に申告せず進めると、契約や融資実行へ影響する可能性があるため、連絡日と回答を記録します。
- 回答の対象となった物件・借入額・申込人を確認する
- 有効期限と、金利・手数料が決まる時点を分けて確認する
- 条件付き回答の完了期限と証明書類を確認する
- 申告後の変更は金融機関へ伝え、回答を書面で残す
6. 手数料・保証・団信・火災保険を審査と並行して確認する
事前審査の結果が同じでも、適用金利、融資手数料、保証料、契約・登記関係費用、繰上返済や条件変更の手数料は商品により異なります。申込時と融資実行時のどちらで金利や費用が確定するか、優遇条件が続く期間、借入額変更時の扱いを商品説明書で確認します。売買契約後に費用不足とならないよう、住宅取得費とは別に諸費用表を作ります。
団体信用生命保険は、加入の要否、告知、保障範囲、金利上乗せ等を確認します。火災保険は融資条件となる場合があり、フラット35では借入対象住宅への加入が必要と案内されていますが、地震保険の扱いなどは商品・契約により異なります。告知や補償の個別判断は金融機関、保険会社・募集人へ正確な状況を伝えて確認し、保障があることを理由に無理な返済計画へ広げません。
7. 売買契約のローン条項と本審査の予定を照合する
売買契約を先に結ぶ場合は、融資を申し込む金融機関・借入条件、承認期限、解除できる条件と通知方法、手付金等の返還、買主側の手続義務を契約書で確認します。国土交通省も、ローンが成立しないときの措置を事前に説明し、契約書へ明確に表示するよう示しています。事前審査の回答だけでローン条項が不要になるとは限りません。疑問は署名前に宅地建物取引士や弁護士等へ確認します。
提出前には、申込書と本人・収入・借入れ・物件資料の氏名、住所、金額、日付を照合し、未提出と追加依頼を一覧にします。本審査、物件検査、団信、契約、登記、融資実行はそれぞれ完了条件が異なります。どの段階でも承認・実行は保証されないため、引渡期限まで余裕を持たせ、変更や遅延が出たら金融機関と仲介・売主側へ早めに連絡してください。
- 事前審査の回答条件と本審査の提出物を照合した
- ローン条項の申込先・条件・期限・解除手続を確認した
- 手数料、団信、保険、登記を含む資金予定表を作った
- 承認が保証ではないことを前提に、期限と連絡先を管理した