1. 決済日から逆算した工程表を、関係者で共有する

不動産売却の決済では、残代金の受領、住宅ローンの完済、抵当権抹消と所有権移転の登記申請準備、固定資産税等の精算、鍵・物件の引渡しなどを連動させます。売買契約書の決済・引渡日を起点に、売主、買主、双方の仲介会社、金融機関、司法書士が行う作業を一覧にします。

日時と場所だけでなく、当日の振込締切、金融機関の受付時間、必要書類の確認期限、欠席者の委任状、鍵の受渡し条件を入れます。国土交通省が示す取引の流れは一例であり、実際の工程は取引条件で異なります。契約書と各担当者の案内を照合し、変更は全員へ文書で共有しましょう。

  • 決済日時・場所、出席者、各担当者の連絡先
  • 残代金・精算金・諸費用の金額と振込先
  • 金融機関、司法書士、仲介会社の確認期限
  • 鍵・書類・物件を引き渡せる条件と時刻

2. 登記名義と本人確認書類は、早めに司法書士へ示す

中古住宅や土地の売買では、一般に売主から買主への所有権移転登記が必要です。登記事項証明書等で所有者、持分、抵当権などを確認し、司法書士から指定された本人確認書類、印鑑証明書、登記識別情報または権利証などを準備します。必要書類や有効期限は取引ごとに異なるため、一覧だけで自己判断しません。

登記上の氏名・住所と現在の氏名・住所が違う場合は、所有権移転の前提として変更登記が必要になることがあります。住所等変更登記は2026年4月1日から義務化され、施行後の氏名・住所変更は変更日から2年以内に登記する必要があります。施行前に生じた未登記の変更は2028年3月31日までが期限です。正当な理由なく義務に違反した場合は過料の対象となる可能性があるため、スマート変更登記の利用可否も含め、司法書士または法務局へ早めに確認します。

3. 住宅ローン完済と抵当権抹消は、金融機関の期限を確認する

抵当権が設定されている物件は、残代金等でローンを完済し、抵当権抹消登記に必要な書類を受け取る段取りを組みます。金融機関へ完済予定日を伝え、当日残高、繰上返済手数料、申込期限、振込先、抹消書類の受取方法、担当部署を確認します。ウェブ上の残高表示だけで当日金額を確定しないでください。

完済手続から書類交付まで日数が必要な金融機関もあり、抵当権者の名称変更や書類の有効期限など別の対応が生じる場合もあります。売買代金だけで完済と諸費用を賄えない見込みなら、自己資金の用意や取引条件について金融機関・仲介会社へ早めに相談します。抹消登記が完了したかも後日確認します。

  • 完済申込の期限と決済日現在の返済額
  • 振込方法、繰上返済手数料、自己資金の要否
  • 抵当権抹消書類の交付場所・時期・受取人
  • 抹消登記の申請者、費用、完了後の確認方法

4. 残代金・精算金・諸費用を、当日用の明細にする

決済明細には、売買代金、受領済み手付金、残代金、固定資産税・都市計画税や管理費等の精算、仲介手数料、登記関連費用、ローン完済額などを分けて記載します。誰から誰へ、いつ、どの口座へ支払うかを明確にし、口座名義と振込額を複数人で照合します。見慣れない変更依頼は担当者へ別経路でも確認してください。

固定資産税・都市計画税は、原則として毎年1月1日の賦課期日現在、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課税されます。年の途中で所有権が移転しても、その年度の納税義務者は変わりません。一方、売買時に売主と買主の負担を日割り等で精算することは取引上の合意であり、法令が一律の精算方法を定めているわけではありません。起算日、対象期間、税額等を契約と精算書で確認します。

5. 当日は、残代金・登記・物件引渡しの順序を確認する

決済当日は、司法書士が本人・意思・登記書類等を確認し、金融機関で送金手続を行う流れが一般的ですが、取引やオンライン対応によって順序は異なります。売主だけの判断で登記書類を先に渡したり、買主だけの判断で鍵の交付を求めたりせず、売買契約と担当司法書士の案内に沿って進めます。

残代金と精算金の着金、ローン完済手続、領収書の交付、登記申請の見通し、仲介手数料等の支払いをチェック欄で確認します。振込遅延、書類不足、本人確認の不一致が起きた場合の連絡先と、決済を延期・再設定するときの合意方法もあらかじめ決めておきます。

  • 司法書士による本人・意思・登記書類の確認
  • 残代金・精算金の送金と着金確認
  • ローン完済、抹消書類、登記申請の段取り
  • 領収書・精算書の交付と、鍵引渡しの可否

6. 物件・鍵・設備は、最終状態を記録して引き渡す

引渡し前に、売買契約書、物件状況報告書、付帯設備表、契約後の追加合意を使って現地を確認します。撤去する家財が残っていないか、残す設備に契約後の故障がないか、修繕・清掃の約束を履行したかを見ます。メーターや設備の状態を日付入り写真で残す場合は、買主・仲介会社と扱いを確認します。

鍵は玄関だけでなく、勝手口、物置、郵便受け、オートロック、宅配ボックス、機械式駐車場などを数えます。リモコン、カード、取扱説明書、保証書、管理組合・管理会社への届出、境界や設備に関する資料も引渡し一覧へ載せます。紛失・不足があれば当日まで隠さず、対応を文書で合意します。

  • 各所の鍵・カード・リモコンの名称と本数
  • 残す設備の状態、撤去物、修繕・清掃の完了
  • 取扱説明書、保証書、管理・境界等の引継ぎ資料
  • 公共料金、保険、管理組合等の停止・名義変更手続

7. 決済後は、登記確認と税務資料の保存まで行う

決済が終わったら、売買契約書、告知書、決済・精算書、領収書、仲介手数料・登記・測量等の支払資料、購入時の契約資料に加え、売主にも共有・交付された重要事項説明書や販売資料があれば一つのフォルダーへ保存します。司法書士から登記完了の連絡や書類を受け、抵当権抹消と所有権移転が予定どおり反映されたか確認します。

不動産売却は譲渡所得の申告確認が必要になることがあります。売却代金だけで申告要否や税額を判断せず、取得費、譲渡費用、所有期間、居住状況、特例の要件を国税庁の案内で確認します。資料がそろった段階で税務署や税理士へ相談し、個人番号や口座情報を含む書類は安全に保管してください。

  • 登記申請・完了の連絡と、登記内容の確認
  • 売買・決済・精算・費用に関する契約書と領収書
  • 購入時の契約書、建築・改良、取得費に関する資料
  • 確定申告の要否、期限、利用できる相談窓口