1. 価格を比べる前に、見積りの対象を同じにする
美容医療の価格は、似た施術名でも対象部位、範囲、方法、使用する医薬品・医療機器、回数、担当体制によって条件が異なります。まず、医師から説明を受けた正式な施術名、対象範囲、一回かコースか、通常想定する通院期間を見積りの先頭に記載してもらいます。広告の短い名称だけを並べても、同じ内容の比較にはなりません。
結果や必要回数には個人差があるため、見積りは効果を保証するものではありません。『何回で完成』という断定ではなく、契約に含まれる有償回数と、医師が一般的な見通しとして説明した回数を分けます。別の医療機関と比較するときも、施術の適否を自己判断せず、それぞれの医師から説明を受けた内容を並べます。
- 正式な施術名、対象部位・面積・本数などの範囲
- 一回当たりの内容と、契約に含む有償回数
- 使用する医薬品・医療機器と数量・単位
- 診察医、施術医、施術場所と予定期間
2. 診察から術後まで、費目を分解して確認する
見積書は、初診・再診、検査、画像撮影、麻酔、施術、薬剤、処方、消耗品、施設利用、術後診察などに分けてもらいます。『一式』だけでは、何が含まれ、後で何が追加されるのか判断しにくくなります。税込・税別、片側・両側、一部位・全範囲といった単位も確認してください。
術後の診察や処置が『無料』と説明された場合は、対象期間、回数、対象となる状態、薬剤・検査の費用、別院での対応を確認します。無料部分が契約期間や中途解約の計算に影響する場合もあります。保証という言葉が使われていても、希望する結果を保証するのか、診察料の一部を負担しないという意味なのかを区別します。
3. 追加になり得る費用を条件付きで並べる
追加費用は、必ず発生するものと、特定の条件で発生する可能性があるものを分けます。施術方法の変更、追加の麻酔、予定外の検査、処方、通院、修正・再施術などについて、誰が必要性を判断し、事前に金額説明と同意があるかを確認します。医療上必要な対応と、希望による追加施術を混同しないようにします。
予約変更・キャンセルでは、いつから費用が発生するか、コース一回分を消化する条件、遅刻時の扱いを書面で確認します。消費者庁の美容医療分野Q&Aは、無断キャンセルを一律に一回消化としてよいのではなく、準備の程度などを総合的に考える考え方を示しています。個別の請求が妥当かは契約と事情により異なるため、疑問があれば消費生活センター等へ相談します。
- 方法・範囲・薬剤量を変更するときの追加額
- 再診、検査、処方、追加処置の費用範囲
- 予約変更、遅刻、キャンセル、一回消化の条件
- 修正・再施術を検討する条件と費用負担
4. 広告価格・割引・モニター条件を契約額と照合する
広告の最低価格は、特定の部位、初回、限定人数、特定の方法などの条件付きである場合があります。来院後に別プランを提案されたら、広告プランとの内容・リスク・費用の違いを医師に説明してもらいます。『安い施術は効果がない』など不安をあおる説明だけで高額プランへ変更せず、当初の希望と予算に戻って考えます。
モニター契約では、撮影範囲、写真・動画の利用媒体、掲載期間、匿名化、撮影・通院回数、途中で掲載を望まなくなった場合の料金、割引取消し条件を確認します。契約額から値引きされた金額だけでなく、個人情報や画像の利用条件も契約の一部です。厚生労働省の広告事例解説書第6版が示す体験談や術前術後画像の扱いも参考に、説明のない掲載同意をしないようにします。
5. コースは期間・回数・解約時単価まで確認する
複数回コースでは、有償の役務提供期間、有償回数、無料と表示される期間・回数、予約可能な間隔、有効期限を分けます。予約が取れない場合に期限が延びるか、転居・妊娠・健康上の事情などで通えない場合の休止制度があるかも確認します。『通い放題』の表示だけで、返金計算の対象期間や回数を推測しないでください。
中途解約時は、契約書に記載された一回単価、提供済み回数、未提供分、解約時に請求される額、返金時期を確認します。特定商取引法の特定継続的役務に当たる一定の美容医療には上限ルールがありますが、すべての美容医療契約へ一律に適用されるわけではありません。対象施術、期間、金額などの条件を契約ごとに確認します。
- 有償期間・回数と、無料部分の期間・回数
- 予約枠、期限延長、休止、転院の条件
- 中途解約時に用いる一回単価と提供済み額
- 解約申出先、精算明細、返金までの期間
6. 支払方法と前払いリスクを施術費から分ける
現金・一括払いの価格と、医療ローン・個別クレジット等の支払条件を別欄にします。分割払いでは、申込金、元の契約額、手数料、実質年率、支払回数、支払期間、月額、初回・最終回額、支払総額を確認します。月額表示だけでは総負担を比較できず、施術が終わった後も支払いが続くことがあります。
長期サービスへ高額料金を前払いすると、事業者が事業を継続できなくなったときに、未提供分の返金を受けられないリスクがあります。消費者庁は、特定継続的役務に当たる前払取引では、契約書面等に前受金保全措置の有無などが記載されると案内しています。保全措置が『なし』でも直ちに違法とは限らず、『あり』でも全額保護とは限らないため、内容と上限を確認します。
7. 比較表を完成させ、空欄を残したまま契約しない
最終比較表には、施術内容、含まれる費目、条件付き追加費用、コース条件、現金価格、支払総額、キャンセル・解約、術後対応を一行ずつ設けます。見積書の発行日と有効期限、説明した担当者も記録します。候補ごとに項目が異なる場合は、空欄を安いと解釈せず質問してください。
見積りは医療上の適否や結果を保証するものではなく、安い順に施術を選ぶためだけの表でもありません。医師による説明と自分の予算の両方を確認し、書面を持ち帰って判断します。契約条件や請求に疑問があるときは消費者ホットライン188、健康上の問題は医療機関へと、相談先を分けて早めに連絡します。
- 見積りの範囲・回数・費目は同じ条件か
- 追加費用とコース解約の計算方法が書面にあるか
- 現金価格と手数料込み支払総額を分けたか
- 比較表と全書面を持ち帰って確認したか