1. 施術名と使用製品を分けて確認する
美容医療の広告では、施術の通称や機器のシリーズ名だけが目立つことがあります。しかし、安全性を確認する単位は、施術名だけではありません。注入する医薬品や材料、照射に使う医療機器について、正式な販売名、一般的な名称、製造販売業者、製造国、医療機関での管理方法を医師に確認します。同じ通称の施術でも、製品、濃度、使用部位、方法が異なれば、承認状況や説明されるべきリスクも同じとは限りません。
見積書には料金項目だけでなく、予定する製品名と施術範囲を書いてもらうと、説明と当日の内容を照合しやすくなります。『有名な機械』『海外で一般的』といった説明だけでは、国内での承認や今回の使用目的までは分かりません。説明した人がカウンセラーであっても、医学的な適応、製品の選択、代替手段、リスクは、実際に診察し施術を担当する医師へ質問してください。
- 医薬品・材料・医療機器の正式な販売名
- 製造販売業者、製造国、ロット等を記録する方法
- 今回使う部位、量、回数、併用する製品
- 説明する医師と施術を担当する医師の氏名
2. 国内承認は製品と使用目的の組合せで見る
国内承認の有無は、製品名だけでなく、承認された効能・効果、使用目的、用法・用量などと合わせて確認します。国内で承認された医薬品や医療機器でも、承認された範囲と異なる目的や方法で使う場合は、いわゆる適応外使用に当たることがあります。反対に、似た名称や同じ成分を含む別製品の承認を、その製品自体の承認と取り違えないことも重要です。
PMDAの医薬品・医療機器情報検索では、販売名、製造販売業者、電子添文、患者向け情報、審査報告書などを確認できます。ただし、検索結果だけで自分への使用が適切かを判断するものではありません。見つからない場合は、入力した名称が正式名か、国内承認があるのか、承認番号や承認範囲は何かを医師に確認し、説明資料と検索結果を一緒に保存します。
3. 未承認・適応外なら五つの説明を受ける
美容目的の自由診療では、国内で未承認の医薬品・医療機器や、承認された範囲と異なる使い方が提案されることがあります。未承認や適応外という言葉だけで、その医療行為が直ちに違法、または必ず危険だと一律に結論づけることはできません。一方で、国内承認のある使用と同じ前提で比較することもできないため、何が未承認・適応外なのかを具体化する必要があります。
医師には、国内の承認状況と今回の使用が承認範囲内か、医療機関がどの経路で入手したか、海外での承認状況はどうか、国内に同じ目的で承認された製品や別の施術があるか、未承認・適応外であることによって変わるリスクや救済制度の扱いは何かを確認します。医学的な根拠として示された資料は、発行主体と対象製品、対象者、使用条件まで読み、広告の要約だけで決めないようにします。
- 国内承認の有無と、今回の使用が承認範囲内か
- 医師・医療機関による入手経路と品質管理の説明
- 海外で承認がある場合、その国・目的・条件
- 国内で承認された代替製品や別の選択肢
- 固有のリスク、施術後対応、救済制度の扱い
4. 海外承認と個人輸入の説明を混同しない
海外の規制当局による承認があっても、日本国内での承認を意味しません。また、海外での承認対象と、国内の医療機関が提案する部位、量、機器設定が同じとも限りません。『海外で承認済み』という説明を受けたら、承認した国・機関、製品名、承認された目的を確認し、今回の使用条件との違いを医師から説明してもらいます。
厚生労働省は、個人輸入された医薬品等について、国内で品質・有効性・安全性の確認がされていないことや、偽造品、不純物、健康被害などへの注意を示しています。患者が通販で購入して持ち込むことと、医師が診療のために手続を経て入手することは分けて考えます。医療機関側の入手であっても、製造元、輸送・保管、ロット、問題発生時の連絡先をどのように把握しているかを確認します。
5. リスクと施術後の対応を製品情報に結び付ける
説明では、期待できる変化だけでなく、通常起こり得る経過、副作用、合併症、後遺症の可能性、結果の個人差、追加処置が必要になる可能性を確認します。一般的な施術説明ではなく、今回の製品、使用部位、方法に即した内容かを見ます。PMDAに患者向医薬品ガイドや安全性情報がある製品は参照できますが、それだけで診察や医師の説明に代えることはできません。
施術後にどこへ連絡するか、夜間・休診時にどの医療機関へつなぐか、再診や追加処置に費用がかかるかを書面で確認します。症状の意味や受診時期を自分で決めず、医療機関から渡された個別の指示に従います。急な悪化や重い症状がある場合は、施術した医療機関へ至急連絡し、状況に応じて救急医療を利用します。製品名と施術日を伝えられるよう記録を携帯します。
- 製品と使用部位に対応した副作用・合併症の説明
- 術後の見通しと、医療機関へ連絡する条件
- 夜間・休診時を含む緊急連絡先と連携先
- 再診、検査、修正・除去等の対応と費用区分
6. 健康被害救済制度の対象を事前に確かめる
医薬品副作用被害救済制度は、国内で承認・許可された医薬品等を適正に使用したにもかかわらず、一定程度以上の健康被害が生じた場合に給付を行う公的制度です。すべての副作用やすべての製品が自動的に対象になる制度ではなく、対象除外医薬品、健康被害の程度、使用目的・方法、請求期限などの要件があります。個別の給付可否は所定の手続で判定されます。
未承認製品や、承認された効能・効果、用法・用量と異なる使用では、救済制度の対象にならない可能性があります。『何かあれば国が補償する』という説明だけで判断せず、使う製品と使用方法について制度の対象可能性を医師へ確認します。制度の詳しい要件はPMDAの救済制度相談窓口で確認し、医療機関独自の補償、賠償責任保険、再診対応とは別の仕組みとして整理します。
7. 説明を一枚にまとめ、当日契約を急がない
候補ごとに、製品名、国内承認、今回の適応、入手経路、海外承認、国内の代替手段、主なリスク、救済制度、施術後の窓口を一枚にまとめます。空欄や曖昧な説明が残る場合は、医師へ再質問するか、別の医療機関でも説明を受けます。厚生労働省の注意喚起も、効果だけでなくリスクや他の選択肢を理解し、今すぐ必要か考えるよう促しています。
同意書へ署名する前に、説明資料、見積書、契約書、製品情報の写しを受け取り、持ち帰って読みます。契約日、説明した医師、施術予定日、質問と回答を記録し、当日も予定した製品と施術内容を確認します。承認の有無だけで医療機関の良否を決めるのではなく、情報を具体的に開示し、代替手段と不確実性を含めて医師が説明するかを判断材料にします。
- 製品名・承認・適応・入手経路の回答を書面化
- 承認品を含む代替手段と、施術しない選択肢
- リスク、救済、術後対応、追加費用を照合
- 不明点が残れば契約・施術日を分けて再検討