1. 2026年分の対象者と、一人一口座の原則を確認する
2026年に利用するNISAは、日本国内に住む18歳以上の人が対象で、年齢は利用する年の1月1日時点で判定されます。その年の年間投資枠を利用して新たに買い付けられる金融機関は一人一社で、つみたて投資枠と成長投資枠は同じ金融機関で利用します。金融機関は年単位で変更できますが、変更前の金融機関で保有するNISA商品は変更後のNISA口座へ移管できず、旧金融機関で非課税保有を続けます。その年に既に買付けがあれば、その年分の変更はできません。
令和8年度税制改正法は2026年3月31日に公布され、18歳未満向けの未成年者特定累積投資勘定は2027年分から適用されます。したがって2026年分には適用せず、2026年は1月1日時点18歳以上、年間120万円・240万円の現行枠で判断します。本記事は2026年7月14日に確認できる2026年分の制度を扱います。税制や対象商品の要件は改正されることがあるため、実際の口座開設・買付け時には金融庁、国税庁、取引先金融機関の最新情報へ戻ってください。
2. 二つの年間投資枠と、簿価残高の総枠を分ける
年間投資上限額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すると年360万円です。これはその年にNISA口座で新たに取得できる金額の上限であり、利益が360万円までという意味ではありません。購入時の金額で管理され、値上がりにより時価が年間枠を超えても、それだけを理由に課税口座へ移される仕組みではありません。注文日と受渡日・約定日のどれでその年の枠を使うかは商品や金融機関の締切を確認します。
非課税保有限度額は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1,800万円で、そのうち成長投資枠で保有できる簿価残高は1,200万円までです。総枠は時価ではなく取得金額で管理されます。つみたて投資枠だけで合計1,800万円を使うことも、成長投資枠だけを利用することもできますが、後者の総枠は1,200万円です。年間投資枠と保有限度額の両方に空きがあるかを注文前に確認します。
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 非課税保有限度額:合計1,800万円(成長投資枠は内数1,200万円)
- 各枠は購入額・簿価で管理し、現在の時価とは分けて見る
3. 対象商品は枠ごとの要件と取扱先を照合する
つみたて投資枠は、長期の積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託とETFに限定され、累積投資契約に基づく定期・継続的な買付けで利用します。対象商品は金融庁が一覧を公表しており、2026年4月には指定指数や一定のアクティブ投信の投資対象、定期売却サービスの手数料に関する要件が改正されています。過去の解説記事だけで判断せず、買付け時点の一覧と交付目論見書を確認します。
成長投資枠は一定の上場株式、ETF、REIT、公募株式投資信託等が対象です。ただし、監理銘柄・整理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等は除外され、公社債や公社債投資信託も対象外です。制度上の対象でも、金融機関が取り扱っていなければ購入できません。NISA対象という表示は、金融庁が値上がりや元本を保証した評価ではないため、商品のリスク・費用は別に確認します。
- 金融庁または資産運用業協会の対象商品一覧に掲載されているか
- 利用する金融機関で、その枠・買付方法による取扱いがあるか
- 投資対象、運用方針、信託期間、分配方針、手数料を理解できるか
- 対象外となる商品や取引を課税口座と混同していないか
4. 非課税になる収益と、残る費用・リスクを確認する
NISA口座で要件を満たして取得した上場株式等の売却益、配当・分配金が非課税の対象です。非課税保有期間は無期限で、口座開設期間も恒久化されています。ただし、購入時・売却時の手数料、投資信託の信託報酬やその他費用、為替関連費用などが自動的にすべて免除されるわけではありません。金融機関と商品の最新手数料を確認します。
ここでいう非課税は、日本の所得税・住民税の取扱いです。外国株式・外国ETF等の配当には現地で外国税が源泉徴収されることがあり、NISA口座内の配当等に課された外国所得税は日本の外国税額控除の対象外です。商品・国ごとの手取り額を確認してください。
非課税は収益への課税上の取扱いであり、元本、利益、配当、分配、換金時期を保証しません。株価や基準価額は下落し、発行体の信用悪化、為替・金利変動、流動性低下、繰上償還等が起こり得ます。投資信託の元本払戻金(特別分配金)は元本の一部払戻しに当たり、もともと課税対象ではないため、受け取っただけでNISAの税制メリットが生じたとはいえません。分配金額だけで成果を評価せず、残高を含むトータルリターンを確認します。
5. 売却すると総枠は翌年以降に簿価分だけ再利用できる
NISA口座の商品は途中で売却できます。売却した場合、非課税保有限度額のうち、その商品の取得金額(簿価)に相当する部分が翌年以降に再利用できます。例えば100万円で取得した商品を時価120万円で売却しても、翌年以降に空く総枠は120万円ではなく簿価100万円です。80万円で売却した場合も、総枠の再利用額は簿価100万円です。損益が消えるという意味ではありません。
売却しても、その年にすでに使った年間投資枠は同じ年には復活しません。翌年以降も、復活した総枠とは別に、その年の年間投資枠の範囲で買い付けます。短期間の乗換えを繰り返すと、売買手数料等がかかる場合があり、その年の年間枠も消費します。分配金を自動再投資する場合も、新たな買付けとして年間投資枠・総枠を使うことがあるため、設定と残り枠を確認します。
- 売却可能額ではなく、売却商品の取得金額を確認する
- 空いた総枠を使えるのは翌年以降
- 再利用時も、その年の年間投資枠を超えられない
- 再投資・乗換えの買付けも枠と費用を確認する
6. 損失と上場株式の配当にはNISA固有の税務注意がある
NISA口座内の商品を売却して生じた損失は、税務上ないものとみなされます。そのため、特定口座・一般口座の上場株式等の譲渡益や配当等と損益通算できず、翌年以後へ繰越控除することもできません。課税口座なら利用できる場合がある損失の税務上の取扱いを失う点も含め、どの口座で何を保有するかを考えます。NISAから課税口座へ払い出す場合の取得価額は払出日の時価となるため、個別手続は金融機関・税務署へ確認します。
国内上場株式等の配当をNISAで非課税にするには、NISA口座を開設した金融商品取引業者等を経由して受け取る必要があり、一般に株式数比例配分方式を選択します。発行会社から直接受け取る方式では課税扱いになることがあります。受取方式の変更は、他社で保有する上場株式等にも影響する場合があるため、すべての取引先へ適用範囲を確認します。投資信託の分配金とは手続が異なるため、商品ごとに確認してください。
7. 金融機関・商品・枠・受取方式を確認してから注文する
金融機関を選ぶときは、対象商品の品ぞろえだけでなく、購入・売却・移管の手数料、積立頻度、最低金額、定期売却、残り枠の表示、注文締切、問い合わせ、認証方式を比較します。つみたて投資枠と成長投資枠を同じ金融機関で使うこと、金融機関の変更は年単位であることを踏まえ、将来使う可能性のある機能も確認します。ただし、商品数が多いこと自体が自分に適した口座の保証にはなりません。
注文前に、口座区分がNISAか、使用する枠、対象商品、買付金額、残りの年間枠・総枠、費用、分配・配当の受取設定を確認します。注文後は取引報告書と取得価額を保存し、年一回は保有目的、費用、リスク、受取方式を見直します。制度改正の発表日と適用年を区別し、2027年以降の変更を2026年分へ遡って当てはめないようにしてください。
- 2026年分の対象者・口座開設先を確認した
- 年間投資枠と簿価残高の総枠を別々に確認した
- 商品が該当枠の対象で、費用・リスクを理解した
- 損失の扱いと配当受取方式を確認した